ヒマラヤンを迎える前に知っておきたいこと
ヒマラヤンは、ペルシャ猫の優雅な毛並みと、シャム猫の魅力的なポイントカラーを受け継いだ、まさに“奇跡の猫種”。
その見た目は絵本から飛び出してきたかのようで、初めて見る人の多くが「まるでぬいぐるみみたい」と口にします。
しかし、その美しい姿に隠れた一面を知らずに飼い始めると、思わぬ苦労をすることも。
私自身、35年以上にわたってヒマラヤンと暮らし、現在は6匹のヒマラヤンと一緒に生活しています。
この記事では、ヒマラヤンのメリットとデメリットを包み隠さず、実体験とともに詳しく解説します。これから迎える方の判断材料となれば幸いです。
ヒマラヤンの基本情報|その誕生背景と性格傾向
項目 | 内容 |
---|---|
原産国 | イギリス・アメリカ(開発) |
体型 | コビータイプ(ずんぐり体型) |
毛種 | 長毛種(ダブルコート) |
性格 | 穏やかでマイペース、物静か |
鳴き声 | 小さく控えめ |
推奨飼育環境 | 室内飼育向け、静かな家庭に適応 |
そのため、見た目の華やかさと落ち着いた性格を併せ持ち、「癒し系猫」としても人気があります。
ヒマラヤンを飼うメリット7選|実際に暮らして感じた魅力
穏やかで攻撃性が少ない性格
ヒマラヤンは非常に落ち着きがあり、人や他の動物に対して攻撃的な行動を取ることが少ないです。
とはいえ、どの猫にも個性があります。
実際に私が迎えた最初のヒマラヤンは少し気が強く、他の猫に対して「私はここが好きなの!」と主張するタイプでした。
ですが、家族にはすぐ懐いてくれ、最終的には他の子たちともしっかり馴染みました。
その後、迎えたヒマラヤンたちはどれもおっとりしており、家庭内でのトラブルもほとんどありませんでした。
鳴き声が小さく静かな猫
多くの猫種と比較して、ヒマラヤンは鳴き声がとても控えめ。
我が家でも、鳴くのは「ごはんまだ?」といったタイミングだけで、夜中に騒ぐことは一切ありません。
ある日、マンションの隣人に「猫を飼ってるなんて気づかなかった」と言われたことも。
集合住宅でも安心して飼える点は、大きなメリットです。
賢くてしつけがしやすい
猫は基本的に「自分のしたいように生きる動物」ですが、ヒマラヤンは比較的ルールを理解するのが得意な猫種だと感じます。
我が家では、トイレや食事のしつけに苦労した記憶はありません。
初めての子猫でも、乳離れ後すぐにトイレを覚え、自分でルーティンを作ってくれます。
しつけのコツは、「命令する」ではなく「猫が安心して動ける環境」を整えること。ヒマラヤンはその環境にすっと馴染んでくれます。
室内飼育にピッタリな性格
活発で外に出たがる猫種とは違い、ヒマラヤンは室内でゆったりと過ごすことを好みます。
運動も控えめなので、高さのあるキャットタワーよりも、低めで落ち着けるベッドスペースのほうが喜ばれます。
特に我が家では、日当たりの良い窓辺にふかふかのベッドを用意しています。
猫たちは毎日のようにそこでウトウトしており、見ているこちらまで癒されます。
美しい見た目に心奪われる
ヒマラヤンの魅力といえば、やはりその長く艶やかな被毛と青い瞳。
「まるで宝石のよう」と表現されることもあるほどです。
うちの子たちは実際にチャンピオンキャットの血筋で、本のモデル猫になった子もいます。
お客様が来た際には「本当に生きてるの?ぬいぐるみじゃなくて?」と驚かれることも。
その見た目だけでも、日々の暮らしに彩りを添えてくれます。
多頭飼いとの相性(ヒマラヤン同士なら◎)
私の経験上、ヒマラヤンは他のヒマラヤンとは相性が良い傾向があります。
実際、アメリカンショートヘアーの子と一緒に暮らしたときは、予想外にヒマラヤンたちが優位に立ち、時に攻撃的になる場面もありました。
その経験から、今はヒマラヤン同士での多頭飼いを基本にしています。
お互いの性格やテンポが似ているからか、自然に調和が取れているのを感じます。
心の癒しとなる存在
日々の忙しさやストレスの中、ヒマラヤンたちの穏やかな寝顔を見るだけで心が落ち着きます。
猫は人間にベタベタしすぎることなく、程よい距離感で寄り添ってくれる動物。
その中でもヒマラヤンは、特に“そっとそばにいてくれる”力を持っていると感じています。
ヒマラヤンを飼う際のデメリット6選|見落としがちな注意点
被毛の手入れは毎日が基本
ヒマラヤンはダブルコートの長毛種で、毛玉ができやすく、放置すると皮膚トラブルにも繋がります。
特に換毛期には1日に何度もブラッシングが必要になることも。
我が家では、1日2回のブラッシングが日課になっており、猫たちもすっかり慣れています。
最初の頃は嫌がられて苦戦しましたが、今ではお手入れ時間がコミュニケーションタイムにもなっています。
暑さにとても弱い
ヒマラヤンは暑さに極端に弱い猫種。特に日本の夏は過酷です。
ある年、エアコンが突然故障し、室温が30℃近くに上がったとき、猫たちがぐったりしてしまい大慌てで冷感マットと扇風機を投入しました。
以後は「27℃前後キープ・空気循環・給水設備の強化」を徹底しています。
夏は電気代との戦いになりますが、命には代えられません。
3. 肥満になりやすい
おっとりしている性格から運動量が少なく、太りやすい傾向があります。
私も一時期、可愛さのあまりご飯やおやつを与えすぎてしまい、ヒマラヤンの体重が5.5kgを超えてしまったことがありました。
猫の肥満は糖尿病や関節トラブルにもつながるため、日々の意識が大切です。
医療費がかさむ場合も
ヒマラヤンは遺伝的に涙やけや呼吸器疾患を抱えやすい傾向にあります。
また、腎臓病や皮膚トラブルなども注意が必要。
我が家では定期的な血液検査や尿検査を受けていますが、年間で1匹あたり2〜5万円の医療費がかかることも珍しくありません。
ペット保険の加入を検討するのもおすすめです。
環境整備が必須
誤飲・誤食事故を防ぐため、常に部屋を整頓する意識が必要です。
特に、糸・ビニール・小さなおもちゃのパーツなどには要注意。
一度、猫じゃらしの紐をかじって飲み込みかけたことがあり、それ以降は全ての玩具を使用後すぐ片付けるようにしています。
初心者にはややハードルが高い
見た目や性格は理想的でも、手間とコストがかかる点を考慮すると、完全な初心者向きとは言えないかもしれません。
ただし、覚悟と準備があれば問題ありません。
実際、私も最初は素人でしたが、猫とともに学びながらここまで来ました。
まとめ|ヒマラヤンと暮らす幸せと責任
ヒマラヤンは、まるで芸術作品のような見た目と、穏やかで優しい性格を併せ持った猫です。
しかしその美しさの裏には、毎日のケアや温度管理、医療面の配慮など、想像以上の手間があることも事実です。
私自身、35年間で数々の学びと喜び、そして責任の重さを実感してきました。
ヒマラヤンたちは、ただ“可愛い”だけで飼える存在ではありません。
でも、それを乗り越えた先には、何にも代えがたい癒しと絆が待っています。

これからヒマラヤンを迎えようと考えている方には、ぜひ本記事が参考になれば幸いです。どうか、あなたの人生に温かな奇跡が訪れますように。
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