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ヒマラヤン多頭飼いの実体験:35年間の成功と失敗から学んだこと【完全版】

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私は現在は自宅でヒマラヤン5匹を含む計6匹の猫と暮らしています。

これまで延べ15匹の猫との多頭飼い経験から、特にヒマラヤンの多頭飼いについて、正直な体験談をお伝えします。

衝撃の事実:ヒマラヤンは同種族同士が一番相性がいい

私がヒマラヤンの多頭飼いを始めた当初、「どんな猫とも仲良くできるだろう」と楽観視していました。しかし、現実は違いました。

最初にお迎えしたヒマラヤンのキャメル(当時7歳)と、その後お迎えしたアメリカンショートヘアのジャズ(1歳)は、なんとキャメルが虹の橋を渡るまで打ち解けることができなかったのです。

その一方で、後から追加したヒマラヤンのヒメと大輔とは、わずか1週間で仲良くなりました。

統計こそ取っていませんが、私の多頭飼いの経験上、ヒマラヤン同士の成功率は90%以上、異種との成功率は40%程度です。

なぜヒマラヤンは同種族同士を好むのか

独特のコミュニケーションスタイル

ヒマラヤンには独特の「ものの言い方」があります。鳴き声は控えめで、代わりに目配せや体の向きで意思を伝えることが多いです。

この微妙なニュアンスは、同じヒマラヤンにしか理解できないようです。

私の家では、ヒマラヤン同士は少しの目配せで遊びに誘い合いますが、他の猫種にはその合図が通じていないようでした。

例えば、キャメルが尻尾をゆらゆらとさせる仕草は、ヒメと大輔には「一緒に遊ぼう」というサインとして伝わりますが、アメショーのジャズには全く通じません。

さらに興味深いのは、ヒマラヤン特有の「首をかしげる」動作です。

この仕草は好奇心や興味を示すものですが、他の猫種はこれを威嚇のサインと誤解することがあります。実際、我が家のアメショーのジャズは首かしげを見て逃げ出す態勢を取ってしまいます。

生活リズムの違い

ヒマラヤンは他の猫よりも日中の活動量が少なく、ゆったりとした生活を好みます。我が家のヒマラヤンたちは、午前中に軽く遊んだ後は夕方まで昼寝をしています。

一方、アメリカンショートヘアのジャズは、常に動き回って遊び相手を探します。この活動量の差が、ストレスや不和の原因になりがちです。

グルーミングスタイルの違い

ヒマラヤンは長毛種特有の丁寧なグルーミングを必要とします。

同種同士だと、お互いの毛並みケアの方法を理解し合えますが、短毛種の猫はヒマラヤンの長い毛の扱い方がわからず、適切なグルーミングができないことが多いです。

私が目にした具体例では

  • ヒマラヤン同士:優しく舐めながら、毛玉ができないように丁寧にほぐす
  • 短毛種がヒマラヤンをグルーミング:毛を引っ張ってしまい、ヒマラヤンが嫌がる
  • ヒマラヤンが短毛種をグルーミング:過剰なケアで相手が疲れてしまう

温度感覚の違い

ヒマラヤンは長毛種のため、他の猫よりも暑さに弱いです。夏場、他の猫たちが日向で昼寝をしている間、ヒマラヤンたちは涼しい場所を探して移動します。

この温度の好みの違いも、猫同士の距離感に影響を与えています。

我が家では、ヒマラヤン専用のクールマットを用意し、エアコンの効いた部屋に自由に出入りできるようにしています。

失敗から学んだ異種との多頭飼いのコツ

それでも、すでに他の猫種を飼っていてヒマラヤンを迎えたい、または逆のケースもあるでしょう。私の失敗と成功から学んだポイントをお伝えします。

年齢と性格のマッチングが最重要

キャメルとジャズが打ち解けなかった最大の理由は、活発で遊び好きなジャズと、マイペースなキャメルの性格の違いでした。

現在、同じ血統の流れの純血種のエキゾチックショートを迎えた際は、比較的早く馴染みました。

猫種の特性よりも、個体の性格を重視した方が成功率は高くなります。性格診断のポイントは以下の通りです

  • 活動量:1日の遊び時間
  • 社交性:人や他の猫への接し方
  • 環境適応力:新しい場所への慣れやすさ
  • 食事スタイル:ゆっくり派か、がつがつ派か
  • 睡眠パターン:昼夜逆転型か、規則正しい型か

物理的な区分けは必須

我が家では、ヒマラヤン専用の「くつろぎスペース」を設けています。

高さのあるキャットタワーの最上段や、静かな寝室の一角など、他の猫が入りにくい場所を確保することで、ストレスを軽減しています。

具体的な区分け方法:

  • 高低差の活用:ヒマラヤン用に高めの棚を設置
  • 扉の利用:部屋を区切って専用空間を作る
  • 視界の遮断:カーテンやパーテーションで目隠し
  • 素材の使い分け:ヒマラヤンが好む柔らかい布製品を専用エリアに

食事は別々の場所で

ヒマラヤンは食事の際に周囲を気にしやすく、他の猫がいると食べなくなることがあります。我が家では、基本的には台所で与えますが、それぞれが好きなところご飯を待っているのでそこまで持っていきます。

遊びの工夫

異種同士の遊びは、どうしても噛み合わないことが多いです。

そこで、並行遊びという手法を取り入れています。これは、同じ空間で別々のおもちゃで遊ぶ方法です。

並行遊びの実践例:

  • ヒマラヤン:羽根つきおもちゃでゆったり遊ぶ
  • アメショー:レーザーポインターで活発に動く
  • それぞれの遊び方を尊重しつつ、同じ空間で過ごす時間を作る

 グルーミングの代替手段

異種同士では適切なグルーミングが難しいため、飼い主による手入れがより重要になります。私は毎日2回、各猫のグルーミングタイムを設けています。

グルーミングスケジュール

  • 朝:簡単なブラッシング(5分程度)
  • 夜:丁寧なケア(15-20分)
  • 週末:全身チェックと特別ケア

成功例:ヒマラヤン同士の絆は格別

現在、我が家にいるヒマラヤンは同じ血統で、母親と子猫など強い絆で結ばれています。

  • いつも3匹で固まって寝ている
  • グルーミングし合う時間が長い
  • 遊びも同じペースで楽しめる
  • 食事も仲良く一緒に食べられる

このような光景は、異種との組み合わせではなかなか見られません。

特に印象的なエピソードは、アイが体調を崩した時のことです。メイとハナは、アイが回復するまでの1週間、ずっと寄り添って見守っていました。

食事の時もアイの近くで食べ、トイレにも付き添うように行動していました。このような深い絆は、同種族だからこそ生まれるものだと実感しました。

私の失敗談:異種同士の多頭飼いでの苦労

失敗例1:アメショーとの組み合わせ

前述のキャメルとジャズのケースですが、具体的には以下のような問題が発生しました。

  • 遊び方の不一致:ヒマラヤンのキャメルの気性が荒く、激しく飛びかかるのでアメショーのジャズが怖がる
  • 寝床の争い:ヒマラヤンのキャメルが寝床を占領し、ジャズがストレスを感じる
  • 食事の競争:キャメルがジャズの食事を横取りする。

結局これらの問題を解決することはできず、アメショーのジャズが虐められ可哀そうでした。これらの問題には、完全な生活空間の分離がいいのだと思いましたが、私たち家族がアメショーのジャズを守ってあげるという対策を取らざるを得ませんでした。

私からの率直なアドバイス

35年間の経験を踏まえ、これからヒマラヤンの多頭飼いを検討している方へ

  1. 可能なら、ヒマラヤン同士の組み合わせを選ぶ
    • 導入期間が短く、ストレスも少ない
    • 長期的に安定した関係を築きやすい
    • 飼い主の負担も軽減される
  2. 異種との組み合わせなら、十分な準備を
    • 最低2ヶ月の導入期間を想定
    • 部屋の物理的な区分も考える
    • それぞれの猫の個性を尊重する覚悟が必要
    • 追加の設備投資(キャットタワー、食器、トイレ等)を覚悟
  3. 万が一うまくいかない場合の対策も考えておく
    • 完全な居住空間の分離が可能か
    • 家族の協力体制は整っているか
    • 専門家に相談できる環境があるか
    • 最悪の場合の譲渡先を考えておく(これは最終手段)
  4. 日々の観察と記録を怠らない
    • 各猫の行動パターンを記録
    • ストレスサインを早期に発見
    • 問題行動の前兆を見逃さない
    • 健康チェックを定期的に行う
  5. 愛情は公平に、でも個別に
    • 各猫との1対1の時間を確保
    • それぞれの好みに合わせたケア
    • 平等な愛情表現を心がける
    • 個性を尊重した接し方を

環境作りの具体的なヒント

スペース活用の工夫

  1. 垂直空間の活用
    • 天井近くまで届くキャットタワーを設置
    • 壁面に取り付け可能なキャットウォークを活用
    • 窓辺に安全な展望台を設置
  2. 隠れ家の確保
    • 各猫専用の隠れ家を用意
    • 段ボール箱や布製トンネルを活用
    • 静かで暗い場所を確保
  3. トイレの配置
    • 猫の数+1個のトイレを用意
    • 静かで人通りの少ない場所に設置
    • 異種同士の場合は別々の部屋に配置

日常のルーティン作り

  1. 食事時間の管理
    • 決まった時間に給餌
    • 各猫の食事ペースを尊重
    • 必要に応じて個別給餌
  2. 遊び時間の確保
    • 1日2回の個別遊び時間
    • グループでの遊び時間も設定
    • 各猫の好みのおもちゃを用意
  3. グルーミングの習慣化
    • 毎日のブラッシング
    • 週1回の爪切り
    • 月1回の全身チェック

まとめ:ヒマラヤンの特性を理解することが成功の鍵

ヒマラヤンは素晴らしい猫種ですが、多頭飼いにおいては同種族同士が最も相性が良いという事実を認識しておくことが重要です。

異種との組み合わせも不可能ではありませんが、より多くの時間と労力、そして愛情が必要になります。

私も日々、7匹の猫たちの個性を尊重しながら、それぞれが幸せに暮らせる環境作りに努めています。

最後に、多頭飼いは単に猫の数を増やすことではありません。それぞれの猫にとって、他の猫の存在がプラスになるような環境を作ることが、飼い主としての責任です。

時には失敗もあり、悩むこともありますが、猫たちが仲良く過ごす姿を見る時の喜びは、苦労を補って余りあるものです。

皆様の多頭飼いライフが、より充実したものになることを願っています。

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