「8年間一緒に暮らしてきたヒマラヤンの“はな”に、もし『お手』を覚えてもらえたら…」そんな思いから、2024年春、私は本格的に猫のしつけにチャレンジしてみました。
SNSで「猫もお手ができる!」という投稿を見かけてはいたものの、実際に自分の愛猫で試した結果はどうだったのか?成功も失敗も含めて、リアルな体験をお伝えします。
この記事では、実際に筆者が愛猫に「お手」を教えてみた体験をもとに、その方法と結果、さらには猫に芸を教える際の注意点について詳しくご紹介します。
結果としては「お手」は覚えてもらえませんでしたが、そこから見えてきた猫のしつけに関する興味深い気づきもお伝えします。
猫に「お手」は教えられる?基本的な考え方
一般的に、犬は人に従順な性格でしつけがしやすい動物として知られています。一方、猫は独立心が強く、自分のペースで生活するのを好むため、芸を覚えさせるのは難しいというイメージがありますよね。
ですが最近では、「猫に芸を教える」「猫にお手やお座りを覚えさせた」という情報をSNSやYouTubeなどで見かけるようになり、「うちの猫もできるかも!」と期待する飼い主さんも増えているようです。
実際にやってみた!愛猫に「お手」を教えてみた記録
愛猫プロフィール
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種類:ヒマラヤン はなちゃん
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年齢:8歳
性格:甘えん坊だけどマイペース、人見知りぎみ
我が家の愛猫は比較的落ち着いた性格で、人のそばにいるのが好きなタイプ。
「もしかして、しつけにも向いているかも?」という淡い期待を抱いて、「お手」トレーニングをスタートしました。
実際にやってみた!我が家流「お手」トレーニング
ステップ1:猫の好きなおやつを準備
まずは「おやつ選び」からスタート。はなは普段、カリカリよりもウェットフード派。
そこで、特別感を出すために普段はあげない「焼きかつお」をご褒美に決定。おやつを見せると、はなの目がキラッと輝きます。
ステップ2:「お手」のポーズをサポート
最初の3日間は、私が手を差し出して「お手」と声をかけながら、そっと前足を持ち上げて自分の手のひらに乗せました。
はなは最初こそ戸惑っていましたが、2日目には自分から前足を少しだけ動かす仕草も。
ステップ3:毎日数分ずつ繰り返し
毎日短時間、タイミングを見て挑戦。朝のごはん前や、夜のリラックスタイムなど、はなが機嫌の良いタイミングを見計らって1日2回、5分ほど練習。
約2週間の成果…結果は?
2週間チャレンジの結果は…?結論から言うと、「お手」は覚えてくれませんでした。
10日目くらいから、はなは「おやつがもらえる=手を差し出される」と理解した様子。
でも、決して自分から手を乗せることはなく、逆に私の手に頭をスリスリして甘えてくるようになりました。
最終的には、手を持たれるのが少しストレスに感じているようだったので、無理に続けるのはやめました。
「お手」はできなかったけれど、はなとの距離が縮まった気がします。
見えてきた「猫のしつけ」のリアル
「お手」は覚えてくれませんでしたが、それでもこの経験から得たことは多くありました。
猫は“芸をするために生きている”わけではない
猫にしつけをするとき、人間側の都合だけを優先すると関係がこじれる恐れがあります。
猫はあくまで自由を愛する動物。彼らの気分や個性を尊重することが、良い関係を築く上で何よりも大切だと実感しました。
褒める・ご褒美を与えるタイミングがすべて
しつけに成功しているケースを調べてみると、やはり「褒めるタイミング」「おやつを与えるタイミング」が絶妙です。
猫が「これをするといいことがある」と自分で気づくような導き方がポイントなのだと感じました。
猫に芸を教えたいときの注意点
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無理にやらせない
猫が嫌がる素振りを見せたら、すぐに中断しましょう。嫌な記憶が残ると、今後の信頼関係にも影響します。 -
焦らない・期待しすぎない
芸を覚える猫もいれば、そうでない猫もいます。成功例と比べすぎず、愛猫のペースを大切に。
「しつけ」より「コミュニケーション」として捉える
しつけの時間を、愛猫との信頼関係を深める遊びの一環として楽しむことが理想です。
体験を通じて感じた「猫の学習」
今回のトレーニングで感じたのは、猫は「自分が納得したとき」だけ行動するということ。
専門書によると、猫は「ご褒美」と「行動」の関連付けが犬よりも難しいそうです。私の場合も、はなが「自分からやりたい」と思えたタイミングだけ、前足を動かしてくれました。
また、猫の性格や年齢によっても、覚えやすさは大きく変わると実感しました。
1. 条件付け学習
猫は古典的条件付けとオペラント条件付けの両方を通じて学習します。研究によれば、猫は行動と結果の関連性を20-40回の繰り返しで学習できることが示されています(Bradshaw, 2018)。
2. 報酬ベースの学習
Vitale Shreve et al.(2017)の研究では、猫は罰よりも報酬に対して顕著に良く反応することが示されました。肯定的強化は否定的強化よりも25-30%効果的であるとされています。
3. 社会的学習
従来の見解と異なり、近年の研究では猫も社会的学習能力を持つことが示されています。子猫は母猫の行動を観察して多くの行動を学習し、人間との関わりからも学びます(Merola et al., 2015)。
4. 敏感期
生後2〜7週の社会化期は猫の行動形成に極めて重要です。この時期の適切な刺激と経験は、後の学習能力と社会性に大きく影響します(Casey & Bradshaw, 2008)。
性格別のしつけ難易度
猫の気質に関する研究(Litchfield et al., 2017)によれば、猫の性格は大きく以下のタイプに分類でき、しつけの難易度に影響します。
1. 社交的・友好的タイプ
- 特徴: 人間や他の動物との交流を好む
- しつけ難易度: 低〜中(相対的評価)
- 効果的なアプローチ: 社会的報酬(撫で、遊び)が効果的
- 注意点: 注目を集めるための問題行動を発達させる可能性がある
2. 警戒心の強いタイプ
- 特徴: 新しい状況や人に対して臆病で慎重
- しつけ難易度: 中〜高
- 効果的なアプローチ: 段階的な慣らし、一貫性のある静かな環境
- 根拠: Kessler & Turner(1997)の研究では、このタイプの猫はストレスホルモンレベルが高く、学習を妨げる可能性があることが示されている。
3. 独立心の強いタイプ
- 特徴: 自己決定を好み、人間の指示に従うことに消極的。
- しつけ難易度: 高
- 効果的なアプローチ: 自然な行動を活かしたトレーニング、環境管理。
- 根拠: Mertens(1991)の研究では、この気質の猫は行動の自由を制限されると反抗的になる傾向が示されている。
4. 活発なタイプ
- 特徴: エネルギッシュで遊びや運動を好む。
- しつけ難易度: 中
- 効果的なアプローチ: 十分な運動と刺激を提供、短時間の集中トレーニング。
- ポイント: 遊びを通じた学習が特に効果的。
科学的根拠に基づくしつけテクニック
1. クリッカートレーニング
Kogan et al.(2017)の研究では、クリッカーを使用した正確なタイミングでの強化が猫のトレーニング成功率を40%向上させることが示されました。
2. 環境エンリッチメント
Ellis(2009)の研究によれば、適切な環境エンリッチメントは問題行動を30-50%減少させる効果があります。これには垂直スペース、隠れ場所、様々な刺激の提供が含まれます。
3. タイミングの重要性
猫の記憶構造の研究(Fiset & Doré, 2006)では、望ましい行動から1-3秒以内に報酬を与えることが学習効果を最大化することが示されています。
4. 一貫性の維持
Bradshaw(2016)の長期的研究では、家庭内での一貫したルールと反応が猫のしつけ成功率を倍増させることが示されています。
猫のしつけは彼らの自然な行動と本能を尊重しながら、科学的に実証された方法を用いることで最も効果的に達成できるようです。
個々の猫の気質と学習スタイルに合わせたアプローチを採用することが成功への鍵となるようです。体験を通じて感じた「猫の学習」の関連付けが犬よりも難しいそうです。
これから猫に芸を教えたい方へ
私が2週間チャレンジして一番感じたのは、「猫のペースを大切にすること」。
はなが嫌がった瞬間は、すぐにおやつタイムに切り替えて、無理に続けませんでした。
「できた・できない」よりも、愛猫と一緒に過ごす時間そのものが宝物だと改めて思いました。
もしこれから挑戦する方がいたら、「うちの子らしさ」を大切に、焦らず楽しんでください!
まとめ|「お手」はできなくても、愛情は伝わる
猫に「お手」を教えようとした私の体験談、いかがでしたか?「お手」ができなくても、はなとの2週間はかけがえのない思い出になりました。
猫は芸をするために生きているわけじゃないけれど、一緒に何かに挑戦することで、もっと深い絆が生まれると感じます。
これからも、はなとの毎日を大切にしていきたいです。
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