「猫って、いい匂いするよね」
猫と暮らしている人の間では、こんなセリフがよく飛び交います。猫の匂いが好きすぎて、毎日のようにクンクン嗅いでしまう……そんな“猫吸い”習慣を持つ方も多いのではないでしょうか。
私自身、ヒマラヤンという長毛種の猫と暮らしています。ふわふわの毛並みと、おっとりとした性格に癒される毎日。そのなかで、ふとした瞬間に感じる“あの匂い”こそが、私にとって最大の癒しになっています。
今回は、「猫の匂いってどんな匂い?」「なぜ心地よく感じるの?」「匂いを楽しむうえで気をつけたいことは?」そんな疑問にお答えしつつ、ヒマラヤンと暮らしてきた私の体験を交えて、猫の“香りの魅力”をご紹介します。
■ 猫の匂いってどんな匂い?
猫の匂いを言葉で表現するのは、なかなか難しいものです。でも、あえて言うならこんな感じ──
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日なたで干した布団のような、あたたかくて落ち着く香り
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甘くほんのりミルクのような香り
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ふわっと優しい、無垢な生き物の香り
猫種や性格、生活環境によって少しずつ違いますが、共通しているのは「清潔感があって、癒される匂い」であること。
私のヒマラヤンは、とくに耳の後ろやおでこのあたりから、ほんのり甘いような、ちょっと粉ミルクに似たような香りが漂います。これは毎日のブラッシングをしているからというのもあるかもしれませんが、もともと猫はとても清潔な生き物。自分でグルーミングすることで、自然と匂いもやさしく整っていくのです。
■ ヒマラヤンの香りは特別?
猫のなかでも長毛種であるヒマラヤンは、特有の香りを持っているように感じます。長く柔らかな被毛は、空気を含みやすく、香りをふんわりとまといやすいのかもしれません。
うちの子は、お昼寝のあとにそっと近づくと、まるで“陽だまりの香り”そのもの。首元の毛をそっと撫でると、私の指に残る優しい香りは、一日の疲れをすーっと和らげてくれるのです。
個人的にとても好きなのは、お腹の毛の匂い。ヒマラヤンのお腹の毛はとくに柔らかく、まるで赤ちゃんの産毛のよう。その部分から香ってくるのは、洗い立てのぬいぐるみのような、懐かしさを感じさせる匂いです。
■ なぜ猫の匂いは「いい匂い」に感じるの?
実は、「猫の匂いが好き」というのは、脳科学的にも説明できる部分があるんです。
猫と暮らすことで分泌されるホルモン「オキシトシン」や「セロトニン」は、心を穏やかにし、安心感を高める作用があります。そして、匂いというのは五感のなかでもとくに記憶や感情と結びつきやすい感覚。猫の匂いを嗅ぐことで、心地よかった記憶や安心感が呼び起こされる──だからこそ「猫=いい匂い」と感じる人が多いのです。
また、猫の体温(38〜39度前後)は人の手より少し温かく、その温もりとともに香る匂いが、私たちの本能的な「癒しスイッチ」を押してくれているのかもしれません。
■ 猫吸いエピソード:匂いは癒しのサプリ
ある日、仕事でひどく落ち込んで帰宅した私。部屋に入ると、ヒマラヤンが静かにソファの上で待っていてくれました。涙ぐんでいた私は、思わず彼女を抱きしめ、おでこを毛にうずめました。
その瞬間、ふわっと鼻に届いたのは、いつもの安心する香り。
何も言わなくても、ただそこにいてくれるだけで、そして“いい匂い”がそっと包んでくれるだけで、「大丈夫」と思えてくる。そんな力が猫の香りにはあると思います。
■ 気をつけたいポイント:匂いの良さを保つには?
もちろん、どんなに猫が清潔好きでも、人間の手入れなしでは匂いも変化してしまいます。いい匂いを保つためには、いくつかのポイントがあります。
◎ ブラッシングは毎日が理想
ヒマラヤンのような長毛種は、とくに毛にホコリや皮脂が溜まりやすいので、毎日のブラッシングがとても大切です。毛が絡まらず空気が通ることで、自然と香りもふんわりと保てます。
◎ 食事内容にも注意
体臭には食事も影響します。質のよいフードを与えることは、健康面だけでなく、体臭の軽減にもつながります。
◎ 清潔な寝床を保つ
猫は自分の匂いを寝床に移します。清潔なベッドや毛布を用意し、定期的に洗濯をすると、猫本来の香りが引き立ちます。
■ まとめ:猫の匂いは、愛おしさそのもの
「猫の匂いはいい匂い」──この言葉は、猫を愛する人たちの共通語です。でもその香りは単なる“におい”ではなく、猫との暮らしそのもの、愛おしさの記憶、そして日々の癒しの象徴なのだと私は感じます。
ヒマラヤンのふわふわとした被毛の奥に、今日もそっと香る“幸せの香り”。
あなたももし猫と暮らしているなら、その匂いをぜひ意識してみてください。きっと、ただそこにいるだけで心が安らぐ理由が、少しわかるかもしれません。
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