ヒマラヤンは、その美しい被毛と穏やかな性格で多くの人々に愛される猫種ですが、遺伝的背景や体の特徴から特定の病気にかかりやすい傾向があります。
飼い主としては、これらのリスクを理解し、適切なケアを行うことで愛猫の健康を守ることができます。
本記事では、ヒマラヤンがかかりやすい病気とその予防法について詳しく解説します。また、私自身の体験談も交えながら、実践的なアドバイスをお届けしますね。
ヒマラヤンがかかりやすい主な病気
1. 多発性嚢胞腎
ヒマラヤンはペルシャ猫由来の遺伝性疾患である「多発性嚢胞腎」にかかりやすい猫種です。
この病気は腎臓に水が溜まった袋(嚢胞)ができることで腎機能が低下し、最終的には慢性腎不全を引き起こします。
症状としては、多飲多尿、食欲不振、嘔吐、体重減少などが挙げられます。
予防法:多発性嚢胞腎は遺伝性疾患であるため完治は難しいですが、定期的な健康診断(血液検査や超音波検査)を受けることで早期発見が可能です。
また、水分摂取を促進するために新鮮な水を常に用意し、ウェットフードを取り入れることも効果的です。

うちでは自動給水器を設置し、水分摂取量を増やす工夫をしています。また、年に1回の健康診断で腎臓の状態をチェックすることを欠かしていません。猫の死因の第1位は腎臓病です。
2. 流涙症
ヒマラヤンは短頭種特有の顔の構造から「流涙症」にかかりやすいです。この病気は涙管が詰まりやすくなることで涙が過剰に出てしまう状態を指します。
放置すると目の周りが炎症を起こしたり、皮膚トラブルにつながることもあります。
予防法:目の周りを清潔に保つことが重要です。柔らかいガーゼで涙や目ヤニを拭き取り、必要に応じて獣医師への相談も大切です。
また、目の周りの被毛が目に入り込まないよう定期的なブラッシングも効果的です。

私は週1回程度の頻度で目元をケアしています。目を触ることに抵抗があります。またケアをしても涙焼けができることもあります。猫の目に気を付けながらケアをし続けることですね。
3. 短頭種気道症候群
短頭種であるヒマラヤンは「短頭種気道症候群」にも注意が必要です。これは改良された猫の宿命になります。
この病気は鼻孔や喉頭が狭いため呼吸困難を引き起こすものです。グスグスと鼻をならす子もいます。特に暑さやストレスによって症状が悪化します。
予防法:ストレスが大敵です。室温管理が非常に重要です。夏場にはエアコンや扇風機で涼しい環境を整え、冬場には暖房で適切な温度(18〜25℃)を保ちましょう。
また、肥満は呼吸器への負担を増加させるため、体重管理にも注意してください。

うちの子は2024年の夏に全員短頭種気道症候群になり、たくさん空気を吸うことでお腹にガスがたまりました。ご飯も(あのチュールでさえ)食べられず、一か月毎日病院通いでした。愛猫が快適に過ごせる環境作りを徹底しないといけませんね。反省です。
4. 皮膚炎(皮膚糸状菌症)
ヒマラヤンは長毛種ゆえに皮膚トラブルにも注意が必要です。特に「皮膚糸状菌症」は真菌(カビ)が原因となる皮膚炎で、多湿な環境下で発生しやすくなります。
フケや脱毛などの症状が見られる場合には早めに対処することが大切です。
予防法:定期的なブラッシングと室内の湿度管理(40〜60%)が効果的です。また、猫用シャンプーで被毛と皮膚を清潔に保つことも予防につながります。

ウチの花ちゃんです。「舐め壊し」で今でも治療中です。ずっと毛繕いをし続け、毛が抜けて皮膚はただれております。原因が分かりません。猫は毛つくろいの動物。皮膚病は治りにくいですね。
日常生活でできる予防策
1. 定期的な健康診断
ヒマラヤンの健康管理には定期的な健康診断が欠かせません。特にシニア期(7歳以上)には年2回以上の検診がおすすめです。
血液検査や超音波検査によって早期発見・早期治療につながりますので検査は大切ですね。
2. 栄養バランスの取れた食事
高品質なキャットフードを選び、栄養バランスの良い食事を提供しましょう。グルテンフリーやお肉だけで作られているキャットフードもあります。特に腎臓ケア用フードはおすすめです。
最近はアレルギーを持っている猫もいますので注意してあげてください。キャットフード選びは猫の健康を保つ大切なものです。

チュールはご飯後のデザートとして1本を2匹に分けて与えています。おやつの与えすぎには注意し適量を守ることも大切みたいですね。甘々の飼い主です。
3. ストレスフリーな環境作り
ヒマラヤンは穏やかな性格ですが、大きな音や急激な環境変化には弱い一面があります。
静かで落ち着けるスペースを設けたり、高さのあるキャットタワーなど観察できる場所を提供することでストレス軽減につながります。
病気予防以外の日常ケア
- ブラッシング:毎日のブラッシングで被毛ケアと皮膚チェックを行う。
- 歯磨き:歯磨きで歯石予防と口内環境改善。猫は歯磨きを嫌がりますが、最近は飲み水に入れる歯磨きもあるようですね。
- 爪切り:月1〜2回程度爪切りして家具破損や怪我防止。

これらの日常ケアを習慣にすると猫たちも健康に過ごせるのですが、毎日となると猫も飼い主も負担になります。日ごろから少しでも異変がないか目配りをしてあげています。
まとめ|ヒマラヤンとの健康的な生活
ヒマラヤンは遺伝的要因から特定の病気にかかりやすい傾向があります。しかし、日々のケアと適切な環境作りによってこれらのリスクは大幅に軽減できます。
ご紹介した予防策や日常ケア方法をご参考いただき、大切な愛猫との健康的で幸せな生活を楽しんでください。
私自身も愛猫との生活から多くの学びと癒しを得ています。ぜひこの記事をご活用いただき、ヒマラヤンとの絆を深めてくださいね!
※当記事は宮崎大学農学部獣医学科の小高先生の監修のもとで作成しました。
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