猫を飼いたい。でも踏み出せなかった私に現れたヒマラヤンでした。
「猫と暮らす」。そのひとことの裏には、癒しやぬくもりへの憧れと、数えきれない不安がつきまといます。
私もそのひとりでした。猫を飼っている友人から猫の話しを聞くたびに「こんなふうに暮らせたら…」と胸をときめかせていました。
でも、現実を考えると不安が頭に浮かびあと一歩がなかなかでませんでした。
- 猫を飼ったことがないから大丈夫なの?
- トイレや爪とぎは大丈夫?
- 鳴き声はうるさくない?
- 長毛種のお手入れって本当にできる?
- お金はどれだけかかるのだろう?
そんな折に出会ったのが、ヒマラヤンのキャメルでした。どこか哲学的な表情で静かに座っていた彼女。
その姿に、「この子なら、そっと暮らしていけるかもしれない」と、心の奥で感じたことを今でもはっきり覚えています。
フワフワとした小さな子猫に身も心も奪われました。
静かで深いぬくもり。ヒマラヤンがくれた心の余白
キャメルがうちにやってきた初日、キャメルはほとんど鳴きませんでした。
ブリーダーさんから「少し神経質な女の子です」と言われたいたので、私もキャメルと名付けた女の子をまずは遠くで観察しました。
キャメルは音を立てることも少なく、部屋の中をじっと観察するように歩いて、自分の落ち着ける場所を探していました。
やがて私のそばに来て、静かに座る。隣で毛づくろいをしながらこちらを見上げて、まだまだ警戒心が解けていませんでした。
キャメルはなかなか慣れてくれませんでした。慣れるのに2週間はかかったと思います。
しかし、徐々に心を開いてくれるキャメルが可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。
猫が心を開いてくれる時が、どの猫でも本当にうれしい時ですね。
ヒマラヤンという“性格”に救われた夜
暮らしのなかで、何気ないけれど忘れられない夜がありました。
当時、仕事も人間関係もうまくいかず、帰宅してすぐにぐったりとソファに崩れ落ちた私がいました。
そんなとき、キャメルがそっとやってきて、私の膝に片方の前足をぽん、と置いたのです。
何も言わず、鳴きもせず。ただ、そのぬくもりがすべてを溶かしてくれるような感覚でした。
その後も、私が情緒不安定なときほど、キャメルはそっとそばにいてくれました。
「この子は、私の心の感じてくれている」
そう気づいたとき、キャメルの存在に心から感謝したのです。
ヒマラヤンの性格は、ただ“穏やか”なだけではありません。
「誰かと静かに共にいる」ことの意味を、深く理解している生き物です。
実際キャメルは、ヒマラヤンにしては気性の荒い子でした。でも当時は本当に穏やかな時間を提供してくれました。
“迎え方”にも、性格が出る。キャメルとわが家の距離感
猫を迎えるとき、「うまく懐いてくれるだろうか」と不安に思う方は多いでしょう。私もそうでした。
キャメルを迎えたその日、私は無理に抱き上げたり声をかけたりせず、彼女が自由に動けるようにそっと見守ることにしました。
最初に彼女が選んだのは、ベッドの下の暗く狭い隙間。
数時間をそこで過ごしたあと、夜になると寝室に入り、ベッドの端にちょこんと座っていたのです。
「知らない家に連れてこられて、本当は怖かったの」
まるでそんなふうに言っているような表情でした。
この“干渉しすぎないけれど見守る関係”が、私たちの絆の始まりでした。猫は、自分のタイミングで、静かに心を開いてくれる存在です。
ヒマラヤンは初心者にも安心?ケア・しつけ・鳴き声のリアル
ヒマラヤンはとても賢く、環境に慣れてしまえばトイレや爪とぎなどのルールも自然に覚えてくれます。
- トイレ: 静かで落ち着いた場所に設置するとすぐに慣れてくれました。砂の種類との相性が大切。
- 爪とぎ: 初めに設置場所と素材を整えれば、家具への被害も最小限。麻のポールがお気に入りでした。
- 鳴き声: 基本的にほとんど鳴きません。マンション暮らしでもご近所に「猫がいるの?」と驚かれるほどの静けさ。
特にヒマラヤンは人との調和を大切にする子が多いため、猫初心者でも安心して迎えられる猫種だと感じています。
長毛種のケアは「手間」ではなく「日課の幸せ」
ヒマラヤンと暮らすうえで避けて通れないのが、被毛のお手入れ。
初めての長毛種、正直言って最初はブラッシングに苦戦しました。毛玉もできるし、静電気で毛が舞うし…。
でも、ピンブラシを導入してからは一気に変わりました。
何より、夜にキャメルと向き合って毛を梳かす時間が”コミュニケーションの儀式”になっていったのです。
今日も元気かな?よく眠れたかな?
何も言わずに毛を撫でながら、彼の体温とリズムを感じる。そんな日々の積み重ねが、信頼を深める確かな方法だったと今では感じています。
暮らしの工夫。室温・食事・遊びも“観察”からはじまる
【室温】
夏場は27℃前後、冬場は23℃前後が理想とされていますが、それ以上に「どこにいるか」が教えてくれます。
冷感マットは見向きもせず、玄関タイルの上がお気に入り。冷房もない玄関の冷たいタイルの上でのびのびとしていました。
ヒマラヤンは暑さに弱いので冷房は必須だと思っていましたが、キャメルの行動で室温調整の正解を学びました。
【食事】
運動量が少ないため太りやすい傾向があります。わが家では、1日3回の少量ごはんに分けて与え、早食いを防止しました。
高タンパク・低脂肪タイプのフードに切り替えてから、健康診断の数値も安定しています。
【遊び】
意外と活発。特に“釣り竿タイプ”のおもちゃは反応抜群でした。最初の一撃は尻尾がピクリ。次に両耳がぴくっ。そしていきなり本気モード。
この15分の夜の遊び時間が、体調チェックと信頼構築に役立ちました。
日々を整えてくれた、“猫という存在”
キャメルと暮らす中で感じた最大の変化は、自分の生活リズムが穏やかになったこと。
急がず、無理せず、リラックスする時間を大切にするようになったのです。
窓辺で光を浴びて目を細めるキャメルの姿に、朝の慌ただしさがふっとやわらぎます。
夜はブラッシングをしながら、自分の感情とも向き合う静かなひととき。
「猫がいることで、心の整い方も変わった」
それが、キャメルが教えてくれたことでした。キャメルが初めて我が家に来たのが30年前。
それ以来、私の生活に猫がいないことなど考えられません。猫がいない生活なんて私の人生ではない。
それくらい猫たちは私の生活と切っては切れない存在です。
ヒマラヤンが教えてくれた、“共に暮らす”という哲学
キャメルと過ごして気づいたことがあります。
「猫を飼う」というより、「ひとつ屋根の下に共存する」という感覚です。
私が彼女を世話しているように見えて、実は彼が私の生活を整え、気持ちのアップダウンをやわらげ、孤独を埋めてくれていたのだと思います。
猫は、こちらが差し出す以上の何かを返してくれます。
言葉のいらない理解、沈黙のあたたかさ。人間関係ではなかなか得られない“気配のやりとり”を、私は毎日キャメルから受け取っていました。
そしてなにより、自分の生活を自分らしいペースで過ごすことの大切さを、彼は体現していたのです。
まとめ:あなたにも、最初の一匹との物語がありますように
ヒマラヤンは確かに手がかかる部分もあります。長毛のお手入れ、室温管理、静かな環境づくり…。
でも、そのひとつひとつが決して“負担”ではなく、生き物と向き合う時間として自分に戻ってくるものだと、私は感じています。
初めて猫を迎えたい、でも不安。そんな気持ちを抱えている方に伝えたい。
ヒマラヤンは、あなたの暮らしに静かなやさしさと、心の調律をもたらしてくれる存在になるはずです。
私とキャメルが築いてきた日々は、小さな選択と静かな時間の積み重ねでした。

これを読んでくださったあなたにも、心からぴったりの“最初の一匹”との出会いがありますように。
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