「ヒマラヤンを迎えたい」と思っているあなたへ
ペルシャの優雅さとシャムの神秘性を併せ持つヒマラヤン。
その品格ある佇まいに憧れ、「この子と暮らしたい」と願う方は少なくありません。
私もその一人でした。
35年前、初めてヒマラヤンを迎えた日の高揚感はいまで も鮮明に覚えています。
しかし、華やかな見た目に反して、その飼育には細やかな配慮と深い理解が求められました。
現在、私はヒマラヤン6匹を含む計6匹の猫たちと暮らしています。
この記事では、これまでの「失敗」や「気づき」を赤裸々に語りつつ、これからヒマラヤンとの生活を始めたい方
またすでに悩みを抱える飼い主さんに向けて、少しでも役立つ情報をお届けします。
見落としがちな盲点 ― ヒマラヤンは暑さに超弱い!
暑さに弱い理由
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長くて密な被毛
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ヒマラヤンはペルシャ譲りのダブルコート(アンダーコート+オーバーコート)を持っており、通気性が悪く、熱がこもりやすいです。
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短頭種(鼻が低い)
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シャムの特徴を持つとはいえ、ペルシャに近いヒマラヤンは鼻がやや低めです。
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そのため体温調節が苦手で、呼吸による放熱が効率的にできません。
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室内生活中心で適応力が低い
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環境の変化や暑さへの耐性を持ちにくいため、急な気温上昇で体調を崩しやすい傾向があります。
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エアコンなしで起きた命の危機
ヒマラヤンの美しい被毛。そのゴージャスさに魅了されがちですが、実は暑さに非常に弱い猫種です。
私が犯した最初の大きなミスは、「猫は涼しい場所を自分で探すから大丈夫」という思い込みでした。
ある夏の日、エアコンが切れた部屋に数時間も放置してしまった結果、愛猫キャメルが口をあけてぐったり。
動物病院へ駆け込み、軽度の熱中症と診断されました。
獣医師の「あと1時間遅ければ命に関わった」という言葉が今も胸に残っています。
温度管理は命を守る設備投資
その後、私が実践している温度・湿度管理は以下のとおりです。
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室温目安:26〜28℃(夏)/20〜22℃(冬)
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湿度:常時50〜60%を保つ
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外出時:エアコンとサーキュレーターの併用
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停電対策:ポータブル電源+スマート温度モニターの設置
電気代は確かに上がりましたが、1ヶ月で約3,000円程度。
対して、あの時の病院代は1.5万円以上。
命を守るための出費は「節約」ではなく「先行投資」だと、私は考えを改めました。
毛玉との戦い ― 美しさは日々の努力から
初心者の私が陥った“毛玉地獄”
「週に2回ブラッシングすれば十分」――これがどれだけ甘かったか、身をもって痛感しました。
毛玉は一度できると根本から固まり、皮膚を引っ張ってしまうほどに。
キャメルの脇下にできた巨大な毛玉は自宅では解消できず、動物病院のトリマーにお願いする羽目に。
費用は15,000円。キャメルも私も大きなストレスを受けました。
私が確立した「毛玉予防ルーティン」
現在は以下のような朝晩のケアルーチンを取り入れています。
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朝(5分)
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コームで毛のもつれを解消
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スリッカーブラシで抜け毛除去
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ピンブラシで仕上げ
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夜(10分)
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脇下や股、首周りを重点的にスリッカーブラッシング
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コームで毛並みを整える
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「短時間×高頻度」がポイント。ご褒美のおやつをうまく活用すれば、ヒマラヤン自身も「ケア=楽しい」と学んでくれます。
その可愛さが命取り?食事管理で防ぐ肥満
ぽっちゃりが可愛い…は間違い!
「ちょっと太めが可愛いよね」そう思って、つい与えすぎたおやつ。
結果、キャメルの体重は1年で4.5kgから6.8kgへ増加。獣医からは「糖尿病予備軍」と告げられ、初めて危機感を持ちました。
私が実践した「無理しない体重管理」
以下は獣医と相談して決めた食事+運動プログラムです。
食事内容(1日)
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朝:低カロリードライフード 25g
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夜:ウェット50g+ドライ15g
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おやつ:20kcal以内(フリーズドライのササミなど)
運動内容
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朝(10分):羽根おもちゃで追いかけ
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夜(15分):猫じゃらしでジャンプ誘導
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週末:段ボールトンネルで即席アジリティ
この管理を3ヶ月続けた結果、キャメルは1.6kg減量し、5.2kgに。性格も明るくなり、遊ぶ時間が自然と増えました。
清潔好きなヒマラヤン ― トイレ環境が命運を分ける
トイレの汚れが招いた悲劇
ヒマラヤンはとても清潔好き。そのため、ほんの少しの汚れでも使用を嫌がることがあります。
私のミスは「明日の朝に掃除すればいいや」と後回しにしたこと。
その結果、キャメルはトイレを我慢し、布団に粗相。2万円のクリーニング代+2週間の信頼回復タイム…痛い経験でした。
ストレスを減らす快適なトイレ環境
私がたどり着いたベストな環境は以下のとおりです。
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トイレの条件
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サイズ:体長の1.5倍以上
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タイプ:オープン型(視覚的安心感)
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素材:掃除しやすいプラスチック製
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設置場所
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人の出入りが少ない静かな場所
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食器から2m以上離す
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猫が24時間アクセスできる
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掃除頻度
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固形物は即時処理
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全体清掃:朝晩2回
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砂の総入れ替え:週1
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本体洗浄:月2回
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さらに、フェロモンディフューザーの導入と、遊びでのストレス発散も効果的でした。
ストレス軽減と運動の重要性 ― 体だけでなく心にもケアを
運動不足がもたらした異常行動
おとなしく見えるヒマラヤンですが、運動不足はストレスの温床です。
一時期、キャメルは過剰な毛づくろいでハゲができてしまいました。病気ではなく、ストレス性の行動と判明し、大いに反省。
遊びながらストレスを解消する工夫
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朝:レーザーポインターで追跡遊び(5分)
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昼:キャットニップ入りボールで一人遊び(5分)
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夕方:トンネルや段差遊び(5分)
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夜:羽根おもちゃでジャンプ&ご褒美(15分)
加えて、窓辺のハンモックや高低差のあるキャットタワー、静かな隠れ家スペースを用意することで、日中も快適に過ごせるようになりました。
まとめ ― ヒマラヤンと心から向き合うということ
ヒマラヤンは、その見た目以上に「繊細で奥深い存在」です。
適切な温度管理、丁寧な被毛ケア、バランスのとれた食事、そして猫の心を大切にした環境づくり――それらは、すべて「命を預かる責任」の一部です。
私はこの35年間で多くの失敗を重ねてきました。

だからこそ、これからヒマラヤンを迎えるあなたには、後悔のない幸せな時間を送ってほしいと願っています。
どうか、この小さな命に「最高の暮らし」をプレゼントしてあげてください。
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